今話題のミャンマー。少し前になりますが、昨年の9月に視察に行ったのでそのときに見られたことについて書きます。
ミャンマーについて
ミャンマーは、東南アジアでインドネシアに次いで2番目に面積が大きな国です。日本の約2倍あります。2014年 約30年ぶりに国勢調査が行われ人口などの実態が明らかになったことは、日本のニュースでもたくさん取り上げられました。
■歴史
2012年、実質約50年続いた軍事政権が終わり文民政権に移行、各種規制の緩和が進められ経済が少しずつ外に開かれました。2015年には民主化の象徴であるアウンサンスーチー氏率いるNLDが政権を握り、支援の積極的な呼び込みや経済発展施策が実行されています。欧米各国も次々と制裁を解除し、本格的に国際経済に復帰しつつあります。
■経済
2014年のGDPは約6兆円。経済成長率は8%以上と急速に発展しています。(出典 外務省)
近隣の国と経年比較してみると以下の通り。現在のミャンマーの経済規模は、10年前のベトナム(現人口約9000万人)、20年前のフィリピン(同1億人)と同水準です。当然若い人がたくさんいますから、東南アジアの他の大国たちに今後どんどん近づいていくでしょう。
ちなみに日本のGDP(2014年)は約500兆円。
ヤンゴンの街の様子
第1の都市ヤンゴンを歩いて感じたことを徒然と。5年前に一度行った時に比べて全体的に道路は少しきれいになり、ホテルが増えていることが目立ちました。一方、屋台や小型店など一般市民の周りの風景はあまり変わらず。
- 中古車:たくさん。軍事政権下では台数規制が敷かれていたが、2012年より緩和。以降2年で約70万台が輸入されたとも言われている(※)。
- バイク:ヤンゴンでは禁止されており、警察車輌以外見かけない。
- バス・鉄道:日本の中古車輌を多く輸入し利用。日本の各地方のバスが見られる。韓国や中国車輌も見かけるがごくまれ。
- 中級レベルのレストランでも、タブレットで注文を取るなど現代的になっている面もある。
- 街に出ている広告は、①飲料等の消費財(Coca Cola, Nestle等)、②携帯端末/通信関連、③大企業関連 がほとんどである。
(※)2017年より、製造業育成のため輸入規制を強化することを発表、輸入規模は縮小することが予測される。
IT化事情
<インターネット普及率>(出典:総務省)
- ブロードバンド普及率:1%以下
- 携帯電話普及率:60~70%
<携帯電話/スマホについて>
- 2012年までSIMカードは発行枚数規制のため1枚数万円であった。撤廃以降爆発的に普及。
- 2012年、国営MPT(ミャンマー郵電)の独占体制を改め外資を2社誘致。コンペで勝ったOoredo(カタール)とTelenor(ノルウェー)が参入。
- 現在のシェアは①MPT(約1700万件)、②Telenor(約1300万件)、③Ooredo(約550万件)。
- Ooredoを筆頭に、最近4Gの提供が始まっている。
- MPTは日本のKDDIとの共同事業で通信事業を展開。
<EC>
- Facebookショッピングが非常にメジャー。ECといえばFacebookという位置づけ。
- その他、Alibabaが参入準備との噂がある(現地人談)。Amazonはまだの様子。
ヤンゴンのスタートアップ
■概観
- スタートアップ数:推定70~100社
- 調達済み企業数:推定10~15社(アクセラレーターによるPre seed出資は除く)
…欧米独立系VCファンドからの出資が多いとみられる。 - コンピューターサイエンスの大学教育が未発達であり、総じて人材が足りていない。
■スタートアップ環境
- アクセラレーター:Phandeeyar
- Ebay創業者による新興国テック企業支援財団が母体。
- 6ヶ月間の育成プログラムを実施。
- コワーキングスペース:同Phandeeyarが運営
- 投資家:
- 国内VC:BOD Tech(スタートアップスタジオに類する、現在6社に投資)他。
- 海外VC:アーリーステージの投資家を中心に数社、参入済み。
- 国内事業会社:大手企業などがスタートアップ投資に興味を示し始めている。
※SeriesB以降の投資を行ったVCは公表情報ではまだ見られない。
ヤンゴン証券取引所
2015年、ヤンゴンに国内初の証券取引所「ヤンゴン証券取引所」が設立されました。これは日本の大和総研とミャンマーの国営銀行が共同で運営しているものです。現在銀行やデベロッパーなど3社が上場しており、近く1社新たに上場予定。将来ここに上場するスタートアップもきっと出てくるでしょう。
ヤンゴンの風景
↑大手日系企業も入っているSakura Tower(左)、ショッピングセンターのJunction Center(右)
↑日本の中古バス