CtripとQunarの合併後、オンライン旅行業にはまだ次の戦いが待っている。大手プレーヤー、2017年の注目点(前半)

中国のスタートアップニュースサイト36krで興味深い記事を見つけたので翻訳してみます。

巨大プレーヤーがひしめく中国OTA(オンライントラベル)業界では現在統合が進んでいるが、まだまだ戦いはこれからという記事。ステージ毎の戦略の取り方の違いを明快に分析しています。

 

ちなみにこの記事に登場するプレーヤーの時価総額は下記のとおり。Ctripがまさに桁外れ。
Yahoo Financeより、2017/3/31の終値。1ドル=112円、1元=16円とする。以下同。)

 

 

※本文章は36krより転載を許可されたものです。36krは中国で最も影響のあるITスタートアップメディアの一つであり、最も新鮮な情報を最も深く報道しています。
【原文】「携程去哪儿合并后,在线旅游业还有一出三国演义|大公司2017看点


「CtripとQunarの合併後、オンライン旅行業にはまだ次の戦いが待っている。大手プレーヤー、2017年の注目点」

 

 

2016年の年末を最も楽しく過ごしたのはおそらく梁建章(編注: Ctrip創業者)だろう。ついに表舞台から退き、人口学の研究に集中することができるのだ。一方後継者となった孙洁は、いい手札を譲り受けたのだが、背負っているものは創業当初の梁建章より軽いとは言えない。

CtripQunarの合併は、全くもって天下が統一されたことを示すものではない。実際は真逆で、オンライン旅行業戦争の後半戦の火蓋が切られたことを示しているのだ。

インターネットが旅行業にもたらす革命というのは、多大な時間がを要するものでまた困難を伴う運命である。

他の産業と異なって旅行業のサービスは商流が長く複雑であり、これまでの前半戦はトラフィックと技術が戦いのキーであった。
しかし業界を根本的に変革するということについて言うなれば、実はやっと情報の非対称性が解消され、従来の旅行会社の商品をオンラインに持ってくるところまで進んだところなのである。

旅行サービスの各セクターをまとめてワンストップサービスを開発すること、ホテルの情報化改革を完了させること、ビッグデータを用いてパーソナライズされた商品形態を設計すること、オフラインのサービス品質を向上することなど、興味深く役にも立つ改革については、ようやく始まりが見えたばかりなのだ。

 

現在第一線にいるプレーヤー(Ctrip、Qunar、途牛同程)は、最も若い会社でさえ11年以上もの期間操業している。しかし彼らの戦いはやっと半分に辿り着いたところなのだ。2016年、彼らは資本を活用して次々に航空会社やホテル、観光地などの資源をパートナーに取り込み、商品からチャネルまで、オンラインオフライン様々な形で融合してきた。

そして大手がひしめく中、O2Oのユニコーンである新美大(編注: レストラン検索サービス大众点评网と共同購入サービス美团が合併してできたグループの通称)とアリババトラベル飞猪も参戦した。彼らが持つユーザーとプラットフォームエコシステムの連動性はいずれも、従来のOTAが築いてきた消費シーンを脅かしている。

資源の集中が進むにつれ、パーソナライズ化が進む非標準サービスでもない限り、中小プレーヤーの生き残りは難しくなるばかりである。今年は大手プレーヤーの年となるのだろう。

 

 

#注目点1:業界のM&Aは続く。みんなオフラインに進出し、アセットヘビーに。


お金で解決するのが好きなCtripは、戦場を落ち着かせるのに忙しい。年末、Ctrip・Qunar・旅游百事通の3社が商品と販売の統合を完了した。QunarとCtripだけについてみると、合併後オンライン旅行の7割のシェアを握ったこととなる。特に航空券やホテル(の予約)といった標準的なサービス領域では、今後おそらく他のOTAにとって状況は悪くなっていくだろう。

CtripとQunarは合併前は競合であったが、実はサービスとユーザー層のカバレッジは相互に強く補完する関係にあった。いち早くプラットフォームの流れを作り出したQunarは、トラフィックと技術に強みがある。一方オフラインから始まったCtripは、サービスとアセットに強い。旅行ビジネスのアセットにおいては、前者が若年層や中〜低級ホテル・民宿が多いのに対し、後者はビジネス利用や高級ホテルが多い。つまり、もし保有するアセットと提供するサービスがうまく噛み合えば、マーケットサイズは1+1=2以上になる可能性を秘めているのだ。

 

資本力がものを言った前半戦では、ひとまず大手OTAプレーヤーの陣取りが決まった。後半戦になった今、相手の陣地を動かすためには、アセットをうまく組み合わせる力とサービス品質を武器にするしかない。
だからこそ昨年、途牛は相当力を入れてエリアサービスセンターを180店舗オープンしたし、同程は全国に300の直営店をオープンし、株主である万达(編注: 中国不動産大手)が持つ120万店舗の旅行社を統合した。

同時に、Ctripは相変わらずお金で解決した。昨年9月に20億元(約320億円)を借り入れると、1か月後にはあっという間に旅游百事通の経営権を戦略的に獲得し、傘下の5000店舗を自らのものにしてしまった。

実はもともと、Ctripは調達した20億元を美团酒旅の買収に充てるだろうと見ていた人もいた。しかしその可能性は小さい。美团の価格レンジは比較的高く、またホテルアセットにおいてはQunarと重複が多い。美团を買収したところで、特にオフライン資源においてはそんなに多くのものは手に入らないのである。

 

 

#注目点2:収益!収益!収益!


業界が整理されることの最大のメリットは、価格戦争が終わることである。OTAは、狂ったようなディスカウント競争からビジネスの本質に戻ってくることができるようになった。インターネット上での後半戦においては、運営効率を上げ、会社の収益力を高めることに目を向け始めるのである。

同程の創業者 呉志祥がかつて開示したことがあるデータによると、海外旅行者の獲得コストは2,000元(約32,000円)。旅行のような利用頻度の低いビジネスにおいては、ディスカウントでお金を燃やしてはいけないという。

最近の情報によると、美团酒旅は各地で手数料を引き上げ始めているという。これはビジネスレイヤーが収益追求に戻ったことを示している。OTAのホテル領域における平均手数料は慣習的にオンラインで10%程度だが、美団はホテル業界に参入してきたばかりの頃はその劣勢を追い上げるため、ホテルというアセットを奪おうと手数料を3%としていた。その後6%としたが、36krが入手した情報によるとこの度ホテル手数料を8~10%まで引き上げるという。

 

また一方、M&A戦争も多くの荒れ地を残した。Qunarを組み入れたCtripは、Qunarの累積損失という難題を引き受けなければならないのである。

昨年の第一四半期にQunarの11億元(約176億円)の純損失を引き受けたCtripは、当期損失額が16億元(約256億円)まで拡大した。Ctripとの競合のためQunarはそれまでに多額の損失を出していたのである。ある報道によると、合併前、Ctripとホテルアセットを奪い合うためにQunarは長期宿泊戦略採ったのだが、この争い一つがもたらした損失でさえ4億元(約64億円)はくだらないという。

逆に、昨年第三四半期まできてしまうとCtripの営業利益率は前年同期の-9%からなんと8%まで増加した。Qunarも予定より早く黒字化を実現した。

 

しかし、QunarとCtripが利益改善したことは想定内である。目下最も利益を必要としているのは実は途牛であり、そこに注目したい。

2015年からの2年間、QunarとCtripが航空券とホテルを巡って激しく争っているうちに、途牛は資金を使っていち早くツアーのパイを広げてきた。資金は主に次の3つに使われた:ブランドマーケティング、差別化商品の推進(「牛人专线」(編注: 途牛の高品質サービスブランド名)・観光地からの直接仕入れプラン)、オフラインサービスセンターの拡充である。

バリューチェーンの上流側に進出し、卸業者を中抜きして自ら仕入れにいくというのはかなり大胆な決断である。このために利益分配の折衝が折り合わず、途牛は上流の旅行社17社(観光資源の卸業者)からの連帯抵抗に遭った。途牛はバリューチェーンの束縛を取り除きたかったのだが、その対価は莫大なものだったのである。

また「旅行にいくなら途牛」というブランドを広げるため、途牛は周杰伦と林志颖(編注: いずれも中華圏のスター)をスポークスマンとして採用し、ここでも大量の資金を投下した。

それでも、于敦德(編注:途牛CEO)が当時くだしたこのお金を使ってマーケットを取るという判断は、実際に多くのプラスをもたらした。2016年第一四半期、途牛はもはや二流のOTAではなくなり、ツアー領域でのシェアはCtripを抜いて首位となった。差別化商品である「牛人专线」での取引割合は全体の30%を超え、昨年の半ばにはエリアサービスセンターも180店舗まで増えた。

同時に、途牛は意識的にテレビCMやオフラインのマーケティングを縮小した。第三四半期、途牛の販売及びマーケティング費用は依然5億元(約80億円)もあったが、前四半期比では19.8%の減少であった。これは、途牛が投下したお金を回収するタイミングに入っていると判断していることを示している。

「ブランド・『牛人专线』・エリアサービスセンターのシステムなど、我々が急速に拡大する中で投資した資産は、今少しずつ効果を発揮しており、我々の発展を支え始めている。」 于敦徳は、蓄積されている5,000万人の一般会員と12万人の「途致高级会员」がこれからより多くの収益をもたらしてくれるようになることを期待している。

好調なのは確かである。2106年第三四半期の決算レポートによると、途牛のツアー商品の流通総額(団体ツアー・フリーツアー・旅行に関する単品商品)は71億元(約1,136億円)で、前年同期比56.0%増となった。売上も前年同期比35.7%増の40億元(約640億円)となった。

しかしそれでも帳簿に乗りかかっている5.7億元(約91.2億円)の累積損失は解消されておらず、于敦徳は利益を出すまでのタイムラインを自信をもって出せずにいる。

 


 

以上前半。後半も書きます。

 

(参考)

 

 

 

 

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