<スタートアップ>
インドネシアでは、新興スタートアップを買収していくようないわゆるメガベンチャーもまだ育っていない。ここでは、将来そういったメガベンチャーになるかもしれない企業たちとして、過去にUSD3million以上の調達をしている企業を紹介してみる(IT業界以外やサービス閉鎖しているもの等一部を除く)。
※CrunchBaseデータを参照
■概要
・事業内容:ファッションや美容用品、電気製品を扱う総合ECプラットフォーム。
・本社:ジャカルタ
・設立:2015年
・過去調達:合計USD500 million
・主な投資家:Lippo Group
■特徴
2015年に、同国不動産開発大手のLiipo GroupからUSD500millionを預かってスタートした注目ECサイト。インドネシアにおいて、中国におけるAlibabaあるいは日本における楽天のような存在になることを目指している。CEOは、スタンフォードで修士を取得後、McKinsey & Companyにて経験を積み、2度の起業も経験しているH. Wenas氏。
■概要
・事業内容:日用品からファッション、ホーム用品まで幅広く取り扱う総合ECプラットフォーム。
・本社:南ジャカルタ
・設立:2012年
・過去調達:合計USD82 million
・主な投資家:ebay, Oak Investment Partners, Brookside Capital(以上US), Singapore Press Holdings(SG)
■特徴
ebayがアジアで展開するECブランド。純粋なスタートアップではないが、今後エコシステムの中で存在を強めるのか否かに注目である。
■概要
・事業内容:モバイル・タブレット端末やカメラ等、エレクトロニクス系を取り扱う総合ECプラットフォーム。
・本社:ジャカルタ
・設立:2012年
・過去調達:合計USD40 million
・主な投資家:Rocket Internet(ドイツ), Summit Partners(US)
■特徴
こちらも純粋なインドネシア発スタートアップではなく、Rocket Internet社から輩出されたSG本拠点のECサービス企業。東南アジア各国でサービス展開しており、こちらは東南アジアのAmazonを目指しているという。
■概要
・事業内容:モバイル・タブレット端末やカメラ等、エレクトロニクス系を取り扱う総合ECプラットフォーム。
・本社:ジャカルタ
・設立:2008年
・過去調達:合計USD6 million
・主な投資家:Tiger Global Management(US)
■特徴
こちらも純粋なインドネシア発スタートアップではなく、Rocket Internet社から輩出されたSG本拠点のECサービス企業。東南アジア各国でサービス展開しており、こちらは東南アジアのAmazonを目指しているという。
■概要
・事業内容:ファッションに特化したECサイト。
・本社:ジャカルタ
・設立:2011年
・過去調達:合計USD5 million
・主な投資家:GREE Ventures, TransCosmos
■特徴
ファッション特化のECサイト。投資家はいずれも日系である。
■概要
・事業内容:近くにいる友だちとつながったり、イベント情報を探せる位置情報系ソーシャルアプリ。
・本社:ジャカルタ
・設立:2014年
・過去調達:合計USD5 million
・主な投資家:Centurion(US), Linear Venture(中国)
■特徴
ようやくECでないサービス。創業者の1人であるJason Lim氏は、Acer Indonesiaの元CEO。こちらの記事で取り上げられている。
図らずもECサービスばかりという結果に。
ちなみに上記に挙げたECサイトをアクセス数順にランキングにすると、Lazadaの圧勝、次いでQoo10とMatahari Mallが二番手を争い、BerrybenkaとDino Marketがやや後手という勢力図であった(SimilarWeb測定)。
<インドネシアマーケットについて>
参考までにインドネシアの基本情報。
・人口:約2.5億人(世界4位)
└ジャカルタ首都圏人口:約950万人
・経済成長率:4.79%(2015年)
・1人あたり名目GDP:USD3377(約39万4千円)
・インターネットネット普及率:約30%(7000万~7500万人)
・資源や一次産品への依存が大きく足元の経済成長率はやや鈍化しているが、人口増加は順調であり、比較的安定的に成長が見込める市場である。
<まとめ>
以上、インドネシアのスタートアップ環境を見てきた。スタートアップ自身もそしてそれを取り巻く支援環境もまだまだ未発達であるが、海外勢や国内大手によるサポート体制は整い始めてきたようにみえる。まずは2~3年以内にエグジット事例が出てくることが期待されるが、以降は政府やVCがどこまで本気でハブ化を目指すのかが問われてくることになるだろう。